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「軸組み工法の低廉な空き家等で人生設計」
低廉な空き家等を再生して立てる人生設計
前回、2×4住宅は堅牢な貯金箱に成り得る「資産形成の器」として考えられるという話を書きました。しかし、2×4住宅自体が少なく、中古住宅市場で見つかれば幸運とも言えます。それに35年の長期ローンを組み、時間を味方にして資産形成する方法論です。これは若い人が比較的新しい2×4住宅を安く手に入れた場合のレアケースかも知れません。なので、就職氷河期世代でも可能性がある低廉な空き家等を活用した人生設計を考えてみたいと思います。
日本の住宅のほとんどは従来工法である軸組み工法で建てられています。また、昭和56年の新耐震基準を満たしていない築古の住宅こそが本当の低廉な空き家等と言えます。
まずは、新耐震基準を満たした軸組み工法の中古住宅で考えてみましょう。
耐震性が確認できる場合、耐震改修後に証明が可能な場合
新耐震基準を満たしているかどうかは、建築確認済証に記載された確認日、または登記簿の表題部に記載された新築年月日(一般に1983年4月以降であれば新耐震基準とみなされます)によって確認できます。旧住宅金融公庫の設計審査通知書や現場審査通知書が残っている場合も、新耐震基準を満たす証明書類として利用できます。また、建築確認台帳記載事項証明書など、行政から取得できる代替書面によって証明できる場合もあります。昭和56年以前に建築された住宅であっても、耐震診断を受けて耐震基準適合証明書を取得する方法があります。耐震診断の費用は、木造住宅で5万〜20万円程度、詳細な調査を伴う場合は60万〜100万円程度とされています。耐震診断の結果、新耐震基準を満たしていることが確認できれば、既存住宅状況調査(インスペクション)を行い、必要な補修を施すことで既存住宅売買瑕疵保険の付保を受けることができます。また、耐震基準適合証明書を取得すれば、フラット35の利用も可能になります。現状で耐震性を証明できない場合でも、耐震改修に必要な費用が許容範囲であれば、改修後に耐震診断を行い、耐震基準適合証明書を取得することで、瑕疵保険やフラット35を利用できるようになります。物件の状態によりますが、適切な調査・検査と必要な修繕を行うことで、住宅を再生する道は十分にあります。
それぞれの物件の状態によりますが、適正な調査・検査と適切な修繕施工で再生する道があるのです。その後の維持管理は個別に管理計画を立てる必要はありますが、その取得費用を抑えることができればその後の人生設計の礎にすることは可能です。
耐震性が確認できない、耐震改修に過大な費用がかかる場合
昭和56年以前の建築で、基礎に鉄筋が入っていないなど耐震改修に過大な費用がかかる場合は話が変わってきます。まず、既存住宅状況調査は可能なので、調査によって居住に問題が無いか使用価値があるかは判定できます。しかし、耐震性について保証はありませんし、証明ができないのでかし保険とフラット35の利用は原則できません。特定のリフォームを施し、要件を満たすことで耐震性が証明できなくても利用できるプランもあります。かし保険は付保できないので、他の損害保険や火災保険で対応せざるを得ません。その代わり、その分だけ安く売り出されていると思います。長く使うことは難しいかも知れませんが、既に長年そこに建っていた実績を評価して、必要箇所だけに絞った修繕やリフォームで住環境を整えて住み継ぐことはできます。米沢市であれば、東日本大震災での震度5強を経験した住宅であることは確かです。蟻害や腐朽、歪み、傾きなどが無いのであれば十分だという方には選択肢になり得ます。気になる外壁や内装、水回りといった部分をリフォームして住環境を整え、費用を抑えた持ち家という選択肢です。
低廉な空き家等の市場の現実
耐震性を証明できない既存住宅はそれこそ低廉な空き家等として既に市場に出始めています。米沢市を例に挙げれば200~800万円程度の中古住宅が現状有姿渡しで数多く売り出されています。これらのうち、昭和56年以前の建築のものはほとんどが新耐震基準を満たせない可能性が高い既存住宅です。令和4年10月発表の国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」を見ても、腐朽・破損等のある住宅は2013年時点で105万5千戸存在し、空き家全体の12%程度に及びます。また、令和元年時点で長期に渡って空き家になっている住宅の4分の3以上が新耐震基準以前の建築であることがわかります。築古の既存住宅は何かしらの事情や問題を抱えている可能性があります。しかし、「全ての空き家が」ではありません。使用価値が認められる空き家であれば再生資源として扱い、活用して住居費を抑え、非課税であるNISAを利用して資産運用し、解体費などを含めた出口戦略こそ一考の余地があるのではないでしょうか。
低廉な空き家等の取引から始める資産形成
今回は50歳で年収400万円でも可能なシミュレーションをしていきたいと思います。まず、土地と建物の物件本体価格を400万円とします。そして修繕・リフォームに300万円、住宅設備に150万円、諸経費に150万円でコンパクトにわかりやすく1,000万円で設定します。
その他に固定資産税等の維持費に30年間で250万円、月額の負担は約7,000円です。
住宅ローンの返済比率は12%で、手取り収入からの比率でも15%程度になり、無理のない借入額となります。
また、積み立て運用する2万円とその他維持費の約7,000円を含めても月々約67,000円の住居費負担です。
| 住宅ローン | 積み立て | ||
| 月々返済額 | 約4万円 | 月々積立額 | 約2万円 |
| 借入額 | 1,000万円 | 15年後元本 | 360万円 |
| 総支払利息 | 約440万円 | 15年後運用益 | 約59万円 |
| 総返済額 | 約1,440万円 | 15年後の補修後の残高 | 約19万円 |
| 補修費(2回) | 800万円 | 30年後元本 | 約379万円 |
| その他維持費 | 250万円 | 30年後運用益 | 約65万円 |
| 総住居費 | 約2,490万円 | 30年後の補修後の残高 | 約44万円 |
どうでしょうか、月々67,000円で適切に管理しつつ30年で住宅ローンを完済し、以降はほとんど住居費負担のない状態になります。月々67,000円を推定手取り314万円で割った比率が約21%です。無理のない返済計画と維持管理計画で50歳でも年収400万円でも持ち家を持つことができるのではないでしょうか。そして、月々賃料7万円で賃貸住宅にお住まいであれば30年後比較で同程度の住居費負担で、資産形成ができる可能性を示唆しています。
選択肢の1つとして柔軟に捉えるならば
低廉な空き家等を安く購入し、構造上主要な部分で必要な修繕のみプロの施工で行い、費用を必要最低限に抑える道もあります。逆に改修費用をかけられるのであれば、軸組み工法の場合はリフォーム・リノベの自由度も大きいことを活かし、大規模な間取り変更なども可能です。どこまで自己責任と割り切って購入するかが判断の分かれ道になりますが、個性的で可能性を秘めたリスク資産なのだと割り切れば選択肢に入るのではないでしょうか。
マインクラフト・どうぶつの森・牧場物語のようなリアルスローライフの実現
必要箇所とこだわりの部分にだけ資金を使い、他はDIYで楽しむと言う手もあると思います。また、地方の築古既存住宅の場合は土地が広いことも少なくありません。畑などが一緒に売られることもあります。農地も令和5年の農地法改正で、取得に必要な下限面積要件が撤廃されましたので、農家でなくともいくつかの手続きや要件を満たせば取得できます。最低限の保証しか得られないかも知れませんが、自由と楽しみが詰まったリアルスローライフが可能です。
二拠点生活のひとつとして
首都圏や都市部の住宅事情は物価上昇や投機的な動きで住宅価格も賃貸料金も上がっています。フラット35の借入上限がとうとう億を超えました。都心などで働く方々にも地方での二拠点生活を検討している人もいると思います。リモートワークが可能な職種であれば、地方でスローライフを満喫しつつ収入を維持することもできるでしょう。そして、住居費を抑えてその余力を資産運用して将来に備えるという人生設計をしている人もいるのではないでしょうか。総取得費を抑えられれば、また他に移住する道も残されます。高負担の新築住宅でローンに縛られるよりも自由で可能性を秘めた人生設計の拠点として地方の低廉な空き家等を再生してみるのはどうでしょう。
いざとなれば損切りという選択肢も
投資をする場合、必ず利益が出るわけではなく、損失が発生する場合もあります。低廉な空き家等を購入して住んでみたものの、環境に馴染めないこともあるでしょう。設備などに不満が生まれることもあるでしょう。しかし、そんな場合にも総取得費が抑えられていれば早期に売りに出して別の土地に移り住むことも、設備を変更することもできるのではないでしょうか。いざとなれば損切りと割り切ってしまえるのも元が安いからこそ生まれてくる選択肢です。
将来が見えないからこそ
日本は失われた30年などと揶揄され、経済成長が足踏みしていると言われていました。それでも円高と物価安定でそれなりに安定した不安の少ない時代でもありました。それが円安、物価高に見舞われ不安定になっています。不安定な時に大切なのは、色々な選択肢を残し、その時々の判断で荒波を乗り越えていく知恵と工夫だと思います。そのためには古い概念を捨て、新しい知識を得て、自己責任で選択していく力が必要です。完璧で最高な人生設計は難しいですが、余裕と可能性を秘めた人生設計を立ててみるのはどうでしょう。
自分なりの人生設計
生活費の中で、住居費は収入の3分の1にする。そんな言葉を耳にしたことがあると思います。金融機関の審査基準では返済比率20〜30%程度が一つの目安とされますが、それはあくまで融資可能な上限であり、無理なく暮らせる基準かどうか保証するものではありません。住居費は基本的に固定費ですから、そこに住んでいる以上は継続的に発生する費用です。固定費の見直しこそが収支の改善に繋がるという言葉もよく耳にします。ということは、住居費を適正な返済比率よりさらに圧縮して、余力を生み、それを運用して人生設計をするのはとても有意義で豊かさに繋がり、不安を減らしていくのではないでしょうか。
限られた時間、限られた資本、限られた収入をどう割り振り、どう生きていくのか、低廉な空き家等の再資源化から始める人生設計のご相談がありましたら、一緒に考えてみましょうか。
出典一覧
耐震診断費用
- 「耐震診断料金(費用)の目安」 令和7年3月
- 出典元:JSDA 一般社団法人日本耐震診断協会
NISAについて
出典元:金融庁
出典元:三菱UFJアセットマネジメント
既存住宅状況調査
出典元:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会
既存住宅売買瑕疵保険
出典元:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会
出典元:国土交通省
フラット35
出典元:住宅金融支援機構
空き家の構造と築年数
- 「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」 令和4年10月
出典元:国土交通省
住宅ストックの築年数
- 「令和5年度 住宅・土地統計調査」 令和5年度
出典元:総務省統計局
新築住宅の着工件数の減少
- 「日本の住宅市場について考える」 令和7年5月
出典元:「ファイナンス」コラム 経済トレンド
住宅市場の統計分析と将来的な見通し
- 「2040年の住宅市場と課題」 令和7年6月
出典元:NRI 株式会社野村総合研究所
関連法令等
出典元:e-gov法令検索











