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「賃貸か持ち家か」

 もはや永遠のテーマとも言える、賃貸か持ち家かを考察していきたいと思います。

 古来より持ち家は、資産であり、男は家を持って一人前という古い概念がありました。それは代々長男が家を継いでいくという慣習から生まれたと推察します。しかし、近年は継ぎ手のいない家が増え、空き家となりその維持管理や処分に困り、いつしか管理不全に陥り不良物件として周囲の景観を損ねる、いわゆる空き家問題という現象が起きています。

目次

建築工事費の推移

 近年は円安の影響もあり物価が上昇し、そのため建築資材も値上がりし、結果的に新築住宅の価格も上がりました。物価上昇の一因でもあるインフレ率を抑制するために政策金利も金利正常化の動きとなり、住宅ローンの重圧も価格と金利の相乗効果で益々増すばかりです。新築注文住宅を手に入れようとすれば将来に渡って相当な負担を要します。それに引き換え、最低賃金が時給1,000円を超えても、給与水準の方はまだまだ物価上昇に追いつくことはなく、景況感(消費マインド)は抑制され続けています。これは国土交通省で発表している令和7年度住宅経済関連データからも読み解けます。平成27年を100として令和6年の建築工事費は127.6となり、一方消費者物価指数は110.3となっています。

住宅ローンの平均年間返済額

 続いて同じく住宅経済関連データから、住宅ローンの年間返済額の平均値を見てみましょう。年間なので月々の返済にボーナス払いの分も含まれていると思われます。注文住宅の平均値を参照すると令和6年度の年間返済額は144.8万円となっています。月額平均を出すために12か月で割ると、月額120,666円となります。全国平均ですので、地域によって多少の差額は出ると思いますが、参考値として捉えておきましょう。この返済額を35年ローンであると仮定すると、注文住宅の全国平均価格が4,000万円程度であることも逆算できます。ついでに既存住宅購入者の年間返済額平均値も見ておきましょう。年間106.5万円で月平均88,750円ですね。20年くらい前なら注文住宅を3,000万円で建て、35年ローンで組んだ場合の返済額に近いです。つまり、既存住宅(恐らくリノベ住宅)の全国平均価格が約3,000万円であると逆算できますね。統計によれば約2,500万円というデータもありますが、参考までに覚えておきましょう。

マンションの平均価格

 引き続き住宅経済関連データから、近年特に需要の多いマンションを見てみましょう。首都圏のマンション平均価格は平成27年時点で5,518万円だったのが令和5年に急激に上昇し、最新の令和6年で7,820万円になり、近畿圏でも平成27年時点で3,788万円だったのが令和6年に急上昇し5,357万円になっています。成約率も決して低くはないのでまだまだ需要はあり、上昇傾向は続いてゆくのではないでしょうか。

賃貸住宅の平均賃料

 賃貸市場はどうかというと、選ばなければ築古のアパートなどはだいぶ安く借りることができます。住居費を抑え、投資や消費に回すことでより豊かな生活が送れるのではないかという考え方にもうなずけます。安い賃貸に住み、余剰資金を信託などの投資に回し、将来設計を立てるのも悪くないですね。では、実際に地域別の家賃相場を見ていきましょう。参考にするのは全国賃貸管理ビジネス協会の統計データです。2026年6月時点での東京都の総平均賃料は月額82,111円で、神奈川県だと69,907円、大阪府だと64,583円、宮城県だと55,239円、当社の所在地である山形県は49,412円となっています。現在の新築戸建てやマンションの住宅ローン支払額とは比べるまでもないですね。

 しかし、新築住宅価格が高騰すると家賃も連動して上昇するという理論があります。詳しくは説明しませんが、物価上昇による新築費用が家賃に反映され、賃貸住宅の需要増加も相まって結果として家賃が上昇するというものです。もう少し簡単に言い換えれば、持ち家の需要が減る分、賃貸の需要が増え、需要と供給のバランスで状態の良い賃貸の家賃は上昇するという理論ですね。
 実際に半年前の2025年12月時点での東京都の総平均賃料は月額78,617円で、神奈川県だと67,255円、大阪府だと62,248円、宮城県だと55,209円で、当社の所在地である山形県は48,156円となっています。どの地域でも家賃も上昇傾向にあることが判ります。

 ※出典一覧に記載されたリンク「全国家賃動向」を押した時点での最新データを確認できます。

戸建て注文住宅を購入できる年収

 戸建て住宅市場の主要顧客層は20代後半から40代前半です。35年ローンを組み完済時に60歳から70歳と想定すれば妥当だと思います。20代で年間150万円弱の住居費を支払うとなると可処分所得で450万円、年収にすると600万円は欲しいところです。20代前半で年収600万円を達成しているとすると相当な上位層だと思います。現在の全国の平均年収が470万円と言われていますので、20代にして全国平均よりも30%程度収入が多くないと単身収入での新築注文住宅の購入は難しいことがわかります。共働き世帯の平均年収で700万円を少し超える程度なので、結婚後に共働きを継続できれば達成可能なように思えます。しかし、出産子育てから共働きが難しくなると将来的に支払いに不安を感じますね。年収600万円というと、単純計算すると月収38万円、ボーナスが合計144万円で達成できます。自営業ならば、もう少し分かりやすく月額50万円の粗利を達成できれば年収600万円達成です。

賃貸と戸建て注文住宅、マンションの比較(35年間)

 35年間、賃貸に住み続けた場合、注文住宅またはマンションを購入して住宅ローン完済までを試算してみましょう。

※あくまでも試算であり、物価上昇や金利変動を考えず、事故・災害等がないことを想定しています。

条件:金利固定2.5%、35年ローン、ボーナス払い20万円×2、物価上昇率無視

   家賃6万円、注文住宅4,000万円、マンション5,500万円、共に頭金なし

属 性賃 貸注文住宅マンション
支払 月額/年額60,000/72万円92,949/約151万円146,573/約216万円
35年間総支払額2,520万円約5,303万円約7,556万円
総支払利息0約1,303万円約2,056万円
修繕管理費・保険料約35万円約1,000万円約2,000万円
固定資産税0約420万円約550万円
更新料・諸費用約105万円約120万円約150万円
住宅ローン控除0約▲270万円約▲310万円
35年間総支出額約2,660万円約6,573万円約9,946万円

こうしてみると、持ち家を持つ希望が持てないような気になってきます。しかし、ここから15年後、つまり50年先を見るとどうでしょうか。

35年ローン完済から15年後の住居費(維持費含む)の試算

属 性賃 貸注文住宅マンション
住居費1,080万円0円0円
維持費約15万円約400万円約900万円
36年目~50年目約1,095万円約400万円約900万円

 ローン完済以降の住居費が一気に圧縮され、老後の負担は持ち家に軍配が上がりそうです。しかし、これは概算であって、終の棲家にした場合です。Z世代の場合は、賃貸で住居費を抑えた分だけ、投資に回し、資産運用すれば老後の住居も賄えると考えそうですね。それも確かに納得できますし、賢明な判断だと思えます。

もう一つの道

 当社は中古住宅の媒介を事業として行います。賃貸管理は予定しておりません。では、このような記事を書く理由は・・・次回に続きます。

出典一覧

令和7年度 住宅経済関連データ

出典元:国土交通省

全国平均家賃データ

出典元:全国賃貸管理ビジネス協会

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