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「住宅ローン(金利型・返済方式)について」

 令和7年12月19日の日本銀行政策決定会合で政策金利が引き上げられました。
25bp(ベーシスポイント)の利上げですが、現日本銀行総裁植田和男氏の発言によれば、今後も状況を見て慎重に判断するとのことです。

そして、令和8年6月16日に発表予定の政策金利が更に25bp利上げされ1%になることが予想されています。

目次

日本の政策金利の推移

 日本は1999年からゼロ金利政策をとり、長期に渡ってそれを維持してきました。また、亡き元総理大臣安倍晋三氏及び、前日本銀行総裁黒田東彦氏主導の下、ゼロ金利を超えたマイナス金利を導入し、さらに量的・質的緩和策も行いました。しかし、コロナ禍による経済停滞を経て、その回復と共に進行した世界的なインフレと、同時並行した円安によって日本国民は物価高に見舞われています。そのような背景の下、長かった低金利政策を脱して、2024年3月19日の日銀政策金利発表から政策金利の利上げが始まりました。そして、2025年12月19日の発表で1995年以来30年ぶりの水準(政策金利0.75%)まで戻りました。政策金利は市場の金利とは別のものですが、結果的に金融機関等の利率に影響し、住宅ローンもその影響を受けることになります。

令和8年6月1日時点での住宅ローン金利は、変動金利で1%近辺まで上昇し、固定金利はとうとう3%を超えました。
令和8年6月16日発表予定の政策金利次第で住宅ローン金利の更なる上昇は避けがたいように感じます。

住宅ローンの選択肢

住宅金融支援機構の実施した調査によると、平成20年より前は当初固定期間選択型が多く選ばれ、変動金利型は最も選ばれにくい選択肢でした。平成20年ころから全期間固定金利と変動金利型が逆転し、平成30年ころからは変動金利型が過半数を超えました。そして、長期に渡った低金利政策によって、令和5年には住宅ローンは変動金利が8割弱にも及んでいます。長期間低金利が続き楽な支払い方法として長期ローン・変動金利型・元利均等方式の組み合わせが金融機関でも、おすすめしやすい状態だったのでしょう。また、インフレ率が長く低迷していたこともあり、すぐに利上げされることもないであろうという見通しもあり、借りる側でもそれほどリスクも感じられないという理由で選ばれてきたのではないでしょうか。

しかし、金利正常化へと向かう現在では、より詳しく知り、できるだけ理解したうえで選択する必要が出てきたと言えるのではないでしょうか。そこで今回は住宅ローンの金利型(変動金利型・当初固定期間選択型・全期間固定金利型)と返済方法(元利均等方式・元金均等方式)のそれぞれの特徴、メリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

金利型

変動金利型

・融資元の金融機関が定めた基準日に金利が変動

・一般的に半年ごとの年2回の見直し 

※毎月見直しをする金融機関も

メリット1:当初適用金利が最も低く設定されている

メリット2:金利が下がると支払利息が減る

デメリット1:金利が上がると支払利息が増える

デメリット2:金利変動リスクが最も高い

当初固定期間選択型

・一定期間、金利が固定

・当初に定めた一定期間が終了するとその時の金利水準で固定金利か変動金利かを選択

※金利見直しの基準日は変動金利と同様

メリット1:一定期間が経過するたびに選択できる

メリット2:金利が見直されても固定期間は月々の支払額、支払利息が変わらない

デメリット1:金利変動リスクはあるが変動金利より適用金利が高い

デメリット2:固定期間中に金利が上がると一定期間経過後の支払額、支払利息が増える

全期間固定金利型

・借り入れから完済まで金利が固定

・支払総額と月々の支払額も固定

※当初に定めた金利で計算され、毎月の返済額も総支払額も固定

メリット1:返済計画が立てやすい

メリット2:金利変動リスクが最も低い

デメリット1:当初適用金利が最も高く設定されている

デメリット2:低金利下では支払総額が最も多くなる

返済方式

元利均等方式

・毎月の支払額が一定

・月々の返済額 - 利息分 = 元金充当分

メリット1:毎月の支払額が一定のため、無理のない計画が立てやすい

メリット2:借り入れ当初の返済額が少なくて済む

デメリット1:借入残高の減りが遅い

デメリット2:総返済額は元金均等方式よりも多くなる

元金均等方式

・毎月の元金支払額が一定

・返済額 = 利息額 + 月々の元金返済額

メリット1:毎月一定で元金が減り、月々の返済額が徐々に減る

メリット2:総返済額が元利均等方式よりも少なくなりやすい

デメリット1:返済当初の返済額が多くなる

デメリット2:適用金利が上がると、月々の返済額が増える

変動金利か固定金利か

 国土交通省の令和5年度民間住宅ローン実態に関する調査によれば、令和元年以降は多くの方が変動金利を選択しているようです。調査の推移結果をみると年々変動金利の選択割合が増えています。固定金利よりも変動金利の方が借入時の金利が低いので、長く続いた低金利状況では有利だったからでしょう。通常、借入時金利が低い方が早めに残高が減っていく分だけ有利です。しかし、長期の借入の場合には、その長い期間の間に借入時に提示されていた固定金利よりも高い金利になってしまうこともあり得ます。過去に組んだ住宅ローンで、残高が順調に減っていればそれほど影響はないと思います。今のところはまだ変動金利と固定金利の間には大きな差がありますが、今後新規借り入れや借り換えを検討するときには、慎重に返済計画を立てる必要がありそうです。

 今後の金利がどう変動していくのか、未来のことは誰にもわかりません。

 ただし、事実として日本の政策金利は、金利正常化へと向かう途中にあって、現在の世界各国の政策金利と比較すればまだまだ低金利です。日銀をはじめ各国の中央銀行は、市場の影響や経済関連指標を参考としてその金利を決定します。世界のマーケット関係者は、米国等は金利を引き下げる局面にあると見ており、日本は引き上げる局面にあると見ています。

 これらの事情により、住宅ローンを組む時には金利型の選択に今まで以上に慎重にならざるを得ないでしょう。もしかすると変動金利で住宅ローンを利用していた人たちが、固定金利で借り換えをするということも徐々に増えてくるかもしれません。ローン期間がまだまだ長く残っている場合には有効かもしれません。しかし、その場合は再度事務手数料が必要になり、その額も無視できるものではありません。必要な事務手数料の金額分だけ繰り上げ返済をする方が有効な場合もあります。また、金利が想定を超えて上昇しても125%ルールなど急激な金利上昇リスクを軽減する措置もあります。変動から固定へ借り換えを検討するのであれば、より入念な調査と専門家への相談を経て決断することをお奨めします。

※当記事は一般論としてお読みください。住宅ローンの詳細やご相談は各金融機関に直接お尋ねください。

元利均等方式か元金均等方式か

 返済計画を立てる際、毎月の返済額が同じである方が安心して組める気がします。元利均等方式の場合にはその安心が得られます。金利が変動しても月々の返済額は変わらず一定なので、毎月いくら用意すればよいのか把握しやすいからです。そのうえで金利が安くなった場合には、元金が多く減ることにもなり、ゼロ金利・マイナス金利と低金利が維持またはより安くなる局面においてとても有効でした。しかし、金利が上がっていく局面になるとどうでしょう。金利の上昇割合には一定のルールがあって、急激に高くならないようになっています。しかし、残高があまり減らないうちに金利が上がりすぎると、発生した利息が返済額を上回り未払い利息が生じるということがありえます。その場合も同じ返済額が維持されますが、元金が全く減らないという事態(未払い利息)が生じます。未払い利息が解消されるまでずっとその状況が続き、より長く、より多くの支払いが発生することになります。

 それに対し、元金均等方式の場合はどうでしょうか。毎月一定の元金と発生した利息を支払うことになるので、残高が多い初期のうちは支払額が大きく、負担が増します。変動金利の場合には、金利が低くなったら利息が減りますので支払額は減ります。しかし、金利が高くなったらまた利息が増えますので支払額が大きくなります。毎月の支払いが一定でないので、その時々の支払いに困らない余裕をもった計画が必要になります。当初固定期間選択型を選択した場合は、固定期間を過ぎた後の金利見直しで、支払う利息が変化しますが基本的には徐々に支払額が減っていきます。そして、全期間固定金利の場合には、元金に応じて常に同じ金利で利息が発生するので、徐々にかつ確実に支払額が減っていき総支払額は変わりません。

最適解はない

 結論として金利型、返済方式に最適解はありません。最適解があるのであればそもそも選択肢自体必要ありません。本来は借入時期や期間、経済状況を考えて選択するものです。20年以上前はリスクを嫌って当初固定期間選択型が選ばれやすかったのも事実です。既に家を持ち、ある程度の期間返済を続けて来た方は残高が順調に減っていると思いますので、金利変動も大きな影響はないかも知れません。しかし、これから持ち家取得を考える際には、近年の最適解とされた選択肢は最適解ではなくなっているかも知れません。住宅ローンを組む時には、金融機関の担当者とよく話し合って、将来的にも納得できる選択をしたいものですね。

出典一覧

政策金利、量的・質的緩和

出典元:一般社団法人 全国銀行協会

出典元:日本銀行ホームページ

住宅ローン金利型利用者割合の推移

出典元:住宅金融支援機構

金利型について

出典元:三菱UFJ銀行ホームページ

返済方式について

出典元:三井住友銀行ホームページ

出典元:国土交通省

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