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コラム ▼
「既存住宅の価値を証明する方法」
前回の記事で「既存住宅の維持管理履歴を証明」できれば、使用価値を認めてもらい建物として資源として評価できるのではないかという話を書きました。しかし、今まさに空き家を管理している方や、現在のお住まいを処分して移住や施設入所を検討している人には、その既存住宅の状態をどのようにして証明するのかという点で疑問が残ったと思います。今から新築する住宅であれば設計図面、建築確認関係書類、性能評価書などを保存しておけば、その価値をのちのち証明できます。しかし、新築当時の書面やリフォームや修繕したときの履歴、それを証明する書類が手元にないということはよくあることです。そしてそれは今更誰かに責任を問えるものでもありません。
既存住宅状況調査(インスペクション)
そこでまず初めに着目して欲しい制度が既存住宅状況調査(以下、「状況調査」という。)です。以前も記事にしましたが、既存住宅の現在の状態について、建築士資格保有者が特定の講習を受講した登録技術者による、国土交通省で告示した方法で行われる調査です。既存住宅の基礎、躯体および雨水の侵入を防ぐ部分である構造上主要な部分を目視及び非破壊による計測等によって調査します。簡単に言うと、住居を専門家が住むのに問題が無いか調べることです。
状況調査を実施することによって、問題の有無を明確にした専門家の作成した証明書ができあがります。
問題があった場合にも、どこにどういった問題があるのかが判明するので、再利用が可能かどうか、その経費はいくらかかるのかが推測できます。問題箇所を修繕した後に再調査をし、改善されていれば問題が無いという証明書と同時に修繕履歴の証明書ができます。長い履歴を証明できるわけではありませんが、住むのに問題はないという証明は十分にできるでしょう。売却したいが、修繕費用が用意できないという場合には、修繕費を差し引いて購入希望者と価格などの面で交渉することになると思います。
既存住宅状況調査でも見つからなかった欠陥
状況調査では問題が無いと証明されても、実際には非破壊の調査ですから見えない部分までは証明されません。リフォーム工事の際に見えなかった欠陥が露呈することも少なくないと思います。その場合は、契約条項で売主の契約不適合免除が合意されていない場合には、その責任を問われるということになりかねません。既存住宅の売買契約の場合、売主の契約不適合責任免除が契約条項に定められることが多いです。そうなると逆に買主が思わぬ修繕費を負担することになります。なので、売主も買主もその責任所在について合意できないと決断できません。それらを無視して売買契約を締結してしまうと法的不安定が残ったままになり、安全な取引とは言えません。宅建士に課せられた使命、不動産取引の専門家として公正・誠実な業務を行い、購入者等の利益保護と取引の適正化を図ることが全うできません。現在取引されている古い中古住宅は「安く売るから引渡し後の売主の契約不適合責任は免除してくださいね」という条件を売買契約書上で合意して締結しているわけです。
既存住宅売買瑕疵保険(通称かし保険)
そこで既存住宅売買瑕疵保険(以下、「かし保険」という。)を活用する方法があります。
売買される既存住宅で入居前の状態で検査し、合格した場合に加入できます。新耐震基準を満たしていることが条件になっていますので昭和56年以前に建てられた既存住宅の場合は、新耐震基準を満たす改修や適合証明書の取得が必要になります。新耐震基準を満たし、状況調査で問題が見つからなかった建物であれば高い確率で付保されます。付保を受け、入居前に改修工事をし、その際に状況調査で見つからなかった構造上主要な部分の欠陥に対して補償を受けられます。免責金額である5万円は負担しなければなりませんが、構造上主要な部分についての修繕費はかし保険によって賄われます。付保後にリフォーム等を行った部分はかし保険では補償対象外になりますので、別途リフォーム保険をおすすめします。そして、その修繕やリフォームについても将来のために履歴を証明することができます。
かし保険の検査基準について詳しく知りたい方は一般社団法人住宅売買瑕疵担保保険協会の「第3章 既存住宅売買瑕疵保険検査基準の解説」で説明されていますのでご確認ください。
制度そのものを詳しく知りたい方は、国土交通省の「既存住宅売買瑕疵保険について」をご確認いただければ、登録事業者5法人のサイトにもリンクされています。
なお、当社が加入している登録事業者は「住宅保証機構株式会社」です。
各種既存住宅の改修(リフォーム)に対応した補助金
補助金の申請時、事業の完了報告時の書面や写真等もまた、履歴として大切に保管します。それらは行政機関に提出して確認されているわけですから、修繕やリフォームの前後についてまで証明できる書類です。また、同時に補助金の申請時に見積りや実際の請求額などの費用についても証明されているので、金融機関の通帳の記載などと併せると偽造の難しい厳格な証明ができてとても有効だと思います。
購入後に行った修繕及びリフォーム
補助金を利用するか否かに関わらず、問題箇所の修繕やリフォームを施すときは計画と設計と見積りの書類ができあがります。そして、工事を実施すればその請求書や領収証も残ります。また、リフォーム保険に加入すればそれも管理履歴の証明になります。
国土交通省の取組み「いえかるて(住宅履歴情報)」
平成19年度から平成21年度にかけて、住宅履歴情報整備検討委員会において、住宅履歴情報に必要な標準形の情報項目や共通ルールのあり方、普及方策等の検討が行われました。
検討された共通の仕組み等に基づき、住宅履歴情報の蓄積と活用を支援する業務(住宅履歴情報サービス)を行う事業者(住宅履歴情報サービス機関)等が会員となり、平成22年5月に設立された一般社団法人が住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会(通称「いえかるて」)です。
この協議会では住宅履歴情報サービスの基本指針の策定等を通じて、住宅履歴情報サービスの公正かつ適正な実施を図るとともに、住宅履歴情報の蓄積・活用の普及等の活動を行っています。
今からでも調査や検査をして、専門家による証明書類の作成を検討してみませんか。市場の認識はすぐには変わらなくても、現在の使用価値を証明して売買の成約可能性を引き上げることができると思います。そしていつしか、適正な維持管理とその履歴証明が当たり前になり、日本の住宅が長く住める資産と認識されていくことを願います。
今回は既存住宅状況調査、既存住宅売買瑕疵保険、そして住宅履歴情報についてご紹介いたしました。いかがだったでしょう、家を売りたい方と買いたい方の疑問に答え、良い情報提供となっていれば幸いです。
なお、当社は既存住宅状況調査技術者及び既存住宅売買瑕疵保険の検査機関として登録しています。専門家ならわかる欠陥の有無を状況調査で、専門家でもわからない見えない瑕疵をかし保険で、そしてそれを証明して契約締結の礎にし、LPガス販売会社として末永く伴走できる体制を整えてお待ちしております。
出典一覧・参考サイト
既存住宅状況調査
出典元:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会
既存住宅売買瑕疵保険
出典元:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会
出典元:国土交通省
住宅履歴情報(いえかるて)
出典元:国土交通省
出典元:一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会











